令和2年度 東京都立両国高附属中 適性検査Ⅲ分析
令和2年度 東京都立両国高附属中 適性検査Ⅲ
2020年2月3日 実施
30分・大問2問(大問1・大問2ともに算数)
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大問1
通しのテーマは一応「商店街」だが、本屋で雑誌を買った話、電気屋でテレビを買った話、商店街の店の位置の話と、1問1問が独立している。
問題1
「地球を出た光が火星に届くまでの時間の差」を求める。
速さの比に発展することもなく、問題文に書かれていることを読み取って答える、単純な速さの問題。
数が大きいのと、「差」を求めることだけは要注意だが、それ以外は平易。
ちなみに、両国高附属中の「式を書いて求めなさい」は基本的に説明は求められていないので、
問題文中に用いられている数字をきちんと使った式が書けていれば問題ない。
この後の問題のことを考えても落としたくない。
問題2
メートルで表された長さを「ヤード・フィート・インチ」を用いて表す、いわゆる単位換算。
1ヤード・1フィート・1インチがそれぞれ何cmかは問題文中に指示あり。
私立中でもたまに見られる「通貨」「カイリ」「尺貫法」など、普段見慣れない単位換算の類いである。
単位換算が苦手な人は、まずは時間の単位換算をしっかり出来るところからスタートすべし。
また、少しケタの大きい小数のわり算が出てくるため、正確な計算力が必要。
直すべき値の単位が「メートル」で表されており、文中で「cm」と「m」が混在していることにも注意。
問題3
両国高附属中が時折だす「条件整理・推理」の問題。
中学入試というよりも、公務員試験の判断推理の問題を彷彿とさせる。
そして、ストレートに場所を聞くのではなく
「お店の位置をすべてつかむために、不足している情報」を答えさせるというひねりが加わっている。
時間はかかるが、落ち着いてやっていけばできない問題ではないので、意外と差がついたのでは。
試験中は配点が分からないのであくまで結果論だが、配点も高かった。
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大問2
テーマは「16個の点を使ったパズル」。
ここ最近、両国高附属中の大問2では一貫したテーマやルールが与えられている。
両国高附属中で頻出のいわゆる「取扱説明書問題」。その場での読み取り能力が問われる。
なお、定規は当日学校から貸し出された模様。
問題1
移動のルールをしっかり理解しているかを確認する問題。
「点数が6点」で、「線対称であるが点対称でない形」または
「点対称であるが線対称でない形」のどちらかになる移動の仕方を描くことになるが、
そこにとらわれすぎて肝心の「一筆書きであること」や「全ての点を使うこと」を見落とさないように。
闇雲にやっても解けないことはないが、四隅に注目するとやや解きやすい。
問題2
問題1と同じ条件下で、「8点」「10点」「12点」になる移動の仕方(実質「図形」)を1つずつ描く。
同じく闇雲にやってもいけないことはないので、手が止まったら負けか。
当日の緊張かつ30分という時間制限を考えると、スマートに解こうとする方が失敗するかもしれない。
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全体を通して
H31よりちょっとボリュームのある問題だったように思うが、基本的な方向性は変わっていない。
「答えが一通りに決まらない」「私立中に似た問題」「取扱説明書問題」「ケタの多い割り算」
「ストレートに聞かずにちょっとひねる問題」など、「都立両国」らしさは健在。
そもそも問題数が少ない上に、換算後の配点も高い。
いかに「平常心」で「丁寧に」、かつ「素早く」処理できるかがポイントとなる。
【令和2年度高校入試まとめ】リンク先一覧
【令和2年度高校入試まとめ4】東京都立高校入試の結果データ(共通問題校2/23区内の進学指導推進校)
東京大学の合格発表がありましたね。
大学入試の合格データは、それはそれでまたの機会にまとめたいと思います。
さて、本日も東京都立高校入試のデータです。
今回は共通問題を実施している「進学指導推進校」のうち、
東京23区内にある7つの学校について触れたいと思います。
今回も、最新の令和2年度も含めた過去3年の比較として掲載します。
(字が細かくてすみません)
以下は、数値を見た限りでの分析となります。
問題を加味した分析はまだ途中です。あらかじめご了承下さい。
※表の数字は、以下のように算出しています。
・受験率=(受験者数/最終応募数)×100 で算出。
・実質倍率=受験者数/合格者数 で算出。
・手続き率=(手続き数/合格者数)×100 で算出。
1.竹早高校
進学指導推進校の中では屈指の人気を誇る竹早高校、
三田や北園にくらべて募集人員が少ないことが特徴です。
昨年は募集人員が増加した影響で近年まれに見る低倍率になりましたが、
今年は募集人員が元に戻ったため、一昨年並の厳しさに戻りました。
女子の人気は相変わらず高く、2倍に近い倍率となっています。
2.三田高校
こちらも進学指導推進校の中で人気がある三田高校。
男女別定員制緩和実施校で、それぞれの募集人員の9割までを男女別々に選抜し、
残りの1割については男女合同での選抜を行っていますが、
実際には男子と女子の合格者数が、募集人員とほぼ入れかわった数になっています。
昨年は女子の受験者が減り、少し落ち着いたかに見えましたが、
今年は再び受験者が増加し、2倍近い倍率の厳しい入試となっています。
3.北園高校
竹早・三田と並んで人気の高い北園高校ですが、その2校とは対照的な結果でした。
一昨年には300人近い不合格者数を出すというかなり厳しい入試となりましたが、
今年は近年でもかなり穏やかな入試となりました。
差替前時点の倍率がかなり低かったため、青山、新宿、竹早、三田辺りからの差替が
もっと多くなると予想していましたが、思ったより増加しませんでした。
しかし、来年は反動する恐れがあるため注意です。
4.豊多摩高校
23区内では最も西にある進学指導推進校である豊多摩高校ですが、
出願人数は久しぶりの500人切りで、さらに男子の受験率が下がっており、
その結果実質倍率も少し下がりました。
不合格者数は200人を切りましたが、それでも1.7~1.8倍の倍率で相変わらず人気です。
5.城東高校
ここからは山手線よりも東側にある学校となります。
近くにある墨田川高校とは対照的に、人気が高くなっている城東高校ですが、
データとしては一昨年とほぼ変わらない入試となりました。
進学指導推進校の中でも受験率が高いのが特徴です。
6.江戸川高校
東京都で最も東にある進学指導推進校である江戸川高校。
出願人数・受験者数ともに右肩上がりで、年々厳しい入試になっています。
なお、一昨年は募集人員が増加しているため、
順当に行けば来年の入試では募集人員が増加するはずですが、
近年ではそういった学校で募集増とならないこともあるため、過度な期待は禁物です。
なお、この学校も男女別定員制緩和実施校ですが、数値上では
三田高校や江北高校ほど大きな影響はないようです。
7.江北高校
こちらは東京都で最も北にある進学指導推進校の江北高校ですが、
昨年厳しい入試だった反動か、今年は少し落ち着いた入試になりました。
この学校も男女別定員制緩和実施校ですが、男子の方が定員より多く合格者が出るのが
大きな特徴です。たまたまかもしれませんが・・・。
次回は、市部にある進学指導推進校について触れていきます。
【令和2年度高校入試まとめ3】東京都立高校入試の結果データ(共通問題校1/進学指導特別推進校)
はやくコロナウイルスの波がおさまってくれないかなと思う今日この頃です。
さて、本日も東京都立高校入試のデータです。
今回は共通問題を実施している学校のうち、
「進学指導特別推進校」に指定されている4つの学校について触れたいと思います。
前回と同じく、最新の令和2年度も含めた過去3年の比較として掲載します。
(字が細かくてすみません)
以下は、数値を見た限りでの分析となります。
問題を加味した分析はまだ途中です。あらかじめご了承下さい。
※表の数字は、以下のように算出しています。
・受験率=(受験者数/最終応募数)×100 で算出。
・実質倍率=受験者数/合格者数 で算出。
・手続き率=(手続き数/合格者数)×100 で算出。
1.小山台高校
都立の共通問題を実施している学校の中では最上位格である小山台高校ですが、
昨年の反動もあってか少しだけ穏やかになり、一昨年とほぼ変わらない入試でした。
男子よりも女子の方が厳しい入試であることには変わりません。
2.駒場高校
保健体育科がある関係で、進学指導特別推進校の中で
今年は全体で見ると昨年並みの出願者数・受験者数・倍率となりました。
しかし、内訳を見ると昨年に比べて男子が大きく減り、
逆に女子は大きく増えています。
かつてにくらべて倍率がかなり穏やかになっており、
昨年は女子がかなりの低倍率でしたが、今年は男子が低倍率になっています。
3.町田高校
東京都の市部で唯一の共通問題実施の進学指導特別推進校である町田高校、
今年は記録的な低倍率となりました。
最初の出願時からすでに人数が少なかった上に、男子・女子ともに受験者数も減り、
不合格者が100人前後だった昨年・一昨年に比べて競争率が大幅に下がっています。
来年は反動があるかもしれませんので、注意です。
4.小松川高校
進学指導特別推進校になってから間もない小松川高校ですが、
数字上ではここ3年を通してほとんど変わっていない入試となっています。
特に男子の受験者はここ3年でほぼ安定しており、
今後も似たような倍率の入試が続くと思われます。
女子については多少の増減はあるものの、大幅な増減にはなっていません。
こんなもんでしょうか。
共通問題実施校の最上位の4校は、意外と倍率がそこまで高くありません。
まあ、このレベルになると内申のマイナス分を
当日で取り返すのが非常に厳しい世界になるので、
確実に合格するには内申がとれていることが絶対条件になってはいますが。
次回は、共通問題を実施している進学指導推進校のうち、
23区にある学校について取り上げます。
【令和2年度高校入試まとめ2】東京都立高校入試の結果データ(自校作成校2/単位制・併設型中高一貫校)
また少し間が空いてしまいました。
今回は東京都立高校入試の自校作成校のうち、
単位制高校の3校と、併設型中高一貫校の5校について触れたいと思います。
前回と同じく、最新の令和2年度も含めた過去3年の比較として掲載します。
(字が細かくてすみません)
以下は、数値を見た限りでの分析となります。
問題を加味した分析はまだ途中です。あらかじめご了承下さい。
※表の数字は、以下のように算出しています。
・受験率=(受験者数/最終応募数)×100 で算出。
・実質倍率=受験者数/合格者数 で算出。
・手続き率=(手続き数/合格者数)×100 で算出。
1.新宿高校
進学指導特別推進校の1つである新宿高校は久しぶりに出願数が600人を切りましたが、
受験率も90%に回復したため、結果的に昨年とあまり変わらない入試となりました。
平成30年度ごろに見られた2倍超の倍率に比べるとだいぶマシになってきましたが、
相変わらず人気が高く厳しい入試が続いています。
2.国分寺高校
こちらも進学指導特別推進校である国分寺高校は、昨年の反動もあってか
出願人数が減り、受験者数も減ったため一昨年並となりました。
不合格者数はまだ100名を超えていますが、前回紹介した国立・立川・八王子東も含め
都心部に比べると比較的穏やかです。
3.墨田川高校
進学指導推進校唯一の自校作成校である墨田川高校は、
付近の小松川や城東、江戸川の人気が高まる一方で出願人数が大幅に減少。
受験率も下がったためまさかの定員割れ、全員合格という事態になりました。
なお、二次募集を実施していますが、二次募集の倍率も3.0倍と、低迷しています。
4.白鷗高校
5.両国高校
6.富士高校
7.大泉高校
8.武蔵高校
いわゆる「都立中がある高校」である併設型中高一貫校はまとめて総括します。
すでに富士高校・武蔵高校は2021年度入試から、
両国高校・大泉高校は2022年度入試から高校募集を停止することが発表されています。
白鷗高校のみ未だに募集停止時期が発表されていませんが、
停止すること自体は確定しております。
結果を見るとなんと富士高校、大泉高校は定員割れで全員合格、
両国高校も男子は全員合格となりました。
特に大泉高校は大幅な定員割れとなり、二次募集で14名もの募集を行っています。
両国高校は手続きを辞退した人がでて、結果的にこちらも定員割れとなり、
富士高校とともにこちらも二次募集を行うことになりました。
白鷗高校も不合格者数は1ケタ、武蔵高校も不合格者数は11名と、
都立中の倍率に比べると、信じられないような倍率の入試となっています。
やはり、中学がある学校に、高校から入ることの抵抗はあるようですね。
そう考えると、高校募集を停止するのもやむを得ないのかな、と感じます。
次回は、共通問題を実施している学校のうち、
進学指導特別推進校・進学指導推進校の学校の結果を取り上げます。