平成31年度 東京都立両国高附属中 適性検査Ⅲ分析
平成31年度 東京都立両国高附属中 適性検査Ⅲ
2019年2月3日 実施
30分・大問2問(大問1・大問2ともに算数だが、1問だけ理科あり)
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大問1
通しのテーマは一応「文化祭」だが、クッキーの販売の話、理科クラブでメダカの展示をしている話、美術クラブの展示の話と、1問1問が独立している。
問題1
「5枚入りと7枚入りの2種類の組み合わせで買うことができない枚数」をすべて答える問題。
この年の「私立中で見かける、特殊算じゃない問題」。
最大の枚数だけでなく、「すべて」答えることになることに注意。
下のように1列あたり5個ずつ、1から順番に数字を並べて調べていく方法が一般的。
1 6 11 16 21 26 31
2 7 12 17 22 27 32
3 8 13 18 23 28 33 …
4 9 14 19 24 29 34
5 10 15 20 25 30 35
5から右、7から右、14から右、21から右、28から右の数はすべて作ることができるので、作ることができるものを消していくと、消されていないものが作れない数となるので分かりやすい。
一応、しらみ潰しに探していっても解けないことはないが、解法を知っているかどうかで時間配分が大きく変わる(しかもこれを問題1に置いているところがなかなか憎い)。
私立中併願組の方がやや有利になった1問か。
問題2
外来種が日本に入ってきた理由として、共通して言えることは何かを答える問題。
科目としては一応理科になるが、社会とも、国語ともとれる問題。
会話文中で述べられているのは、
1.アライグマのようにペットや鑑賞の目的で持ち込まれた生き物
2.もともとは食用として持ち込まれた生き物
3.野菜の多く
4.外国からの荷物にまぎれこんで日本に入ってきた植物
が外来種であることであるが、これらの共通点は「自ら日本に入ってきたわけではないこと」、つまり何らかの形で「持ち込まれた」こととなる。
持ち込んだのはもちろん人間なので、「人間の活動」によって入ってきているという共通点を見いだす。
今回の適性検査Ⅲの中でも異色の存在で、5問中1問がこれかと思うと、ちょっと拍子抜けだなという印象。
問題3
今年の「解がたくさんある問題」は平面図形。立ち入り禁止の部分の面積の合計が22.28㎡になるような台の置き方を考える問題。
解答用紙にはすでに台が4つ置かれており、そこに2つ追加することによって、面積を22.28㎡にしていく。
特徴的な数字に注目するのは、適性検査のみならず私立算数でも重要な考え方である。今回では小数点以下の並びからおうぎ形の個数と正方形の個数を具体的に求めていくことになる。
おそらくこの年で最も面倒な問題で、できた人はおいしいボーナス点が入ったと考えてほぼOK。
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大問2
テーマは「暗証番号」。
ここ最近、両国高附属中の大問2では一貫したテーマやルールが与えられている。
両国高附属中で頻出のいわゆる「取扱説明書問題」。その場での読み取り能力が問われる。
問題1
りょうさんが出している1188が、正しいもとの暗証番号ではないことにみさきさんが気がついた理由と、正しいもとの暗証番号を求める問題。
平成30年度もそうだったが、1問目はルール確認の側面があり、確実にとりたい問題。
少し細かいが「暗証番号ではない理由」ではなく「みさきさんがそれに気づいた理由」をきいていることや、みさきさんが「まだ計算していない」と言っていることから、数値ではなく方法が間違っているのでは、と推測した上で話をすすめたい。
桁数の多い割り算を何回もやることになるので、正確な四則演算の力をつけておく必要がある(桁数の多いというか、比較的面倒な割り算がほぼ毎年のように求められる)。
説明は「りょうさんが行った計算」を参考にするとよい。
問題2
問題1と同じ条件下で、記録する数が96000000から100000000までになるようなもとの暗証番号を1つ答える問題。おそらくこの年の問題の中では差がついている。
暗証番号の出し方(ア)~(ウ)を確認すると、数字を組み合わせた後に2倍または3倍または5倍していることから、96000000と100000000を2、3、5でそれぞれ割ってみると、2つの暗証番号を組み合わせた直後の数字がでる。
(ア)の場合は2で割って、48000000から50000000まで。
(イ)の場合は3で割って、32000000から33333333まで。
(ウ)の場合は5で割って、19200000から20000000まで。
ここでどのパターンも必ず(千万の位)>(百万の位)になるから(イ)の場合はありえず、
また5で割ったときに、2倍して千の位が1になる数は必ず3桁の数になるので(ウ)の場合もありえない。
したがってここは(ア)のパターンに限られるということに気づいた上で、
3倍した数の千の位が4、5倍した数の千の位が8または9になるような偶数をだせばよい。
ただ、当日の緊張かつ30分という時間制限を考えると、あれこれ頭の中で考えるよりは、いろいろ試してみた方が結果的に答えにたどりついたのではないかと思う。
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全体を通して
ここ最近ではもっとも難易度のバランスがよかったように思う。H29ほど難しくないが、H30ほど簡単でもない。
「答えが一通りに決まらない」「私立中に似た問題」「取扱説明書問題」「ケタの多い割り算」
「ストレートに聞かずにちょっとひねる問題」など、「都立両国」らしさは健在。
そもそも問題数が少ない上に、換算後の配点も高い。
いかに「平常心」で「丁寧に」、かつ「素早く」処理できるかがポイントとなる。