令和2年度 東京都立白鷗高附属中 適性検査Ⅲ分析
令和2年度 東京都立白鷗高附属中 適性検査Ⅲ
2020年2月3日 実施
30分・大問2問(大問1は算数、大問2は理科・算数)
※昨年から小問の数が減少。また理科の問題が初めて出題された。
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大問1
テーマはダーツのような「的当てゲーム」。いずれも「点数」についての問題だが、問題そのものは独立していると言える。
今年の大問1は、全ての問題で答えが1通りにならないという特徴がある。
問題1
「得点が42点になる組み合わせ」を、会話文中にある「くるみさんの結果」以外で3組挙げる問題。
投げる回数は3回だが、同じ場所に2回以上玉が入らないことや、解答の際に「玉が入った外側に書いてある数は小さい順に書く」ルールがあることに注意。
適性検査にありがちな「会話文中にある結果を利用する」典型題と言える。
「くるみさんの結果」のうち、10点×3は変えずに、残りの2回で12点を取るように組み合わせを考えれば、比較的早く解けるか。
確実に得点したい問題。
問題2
「玉を1個投げるだけでは取れない点数」を5通り答える問題。説明も要求されている。
ただし、会話文中に書かれている11点と19点は使用できない。
この問題も、会話文中にある「11点」と「19点」からヒントを得てもよいが、「11」「19」という数字だけを見て「素数」と判断してしまうと、あてはまる数が1つ足りなくなり、ドツボにはまる可能性あり。
「先入観やぱっと見で判断しない」ことが重要。
落ち着いて考えていけば、22や25等の素数以外の数も作れないことに気づくと思われる。
説明は、素直に「1~10」「1~20のうち2の倍数」「1~30のうち3の倍数」の数を除いたものを選んだ、と書けば十分に伝わる。
個人的には意外と差がつく問題ではないかと思う。
問題3
「玉の入る場所が全部で60個になる的のときに、時計回りに数を重なることなくあてはめることができるのは、何か所ずつのときか」を3通り答える問題。説明も要求されている。
問題1・2とは少し異なる方向性の問題。
最終的には「20と互いに素」の数を見つければOKなのだが、そこまでに至るかが勝負か。
手が出ない場合は、玉の入る場所が30個の的(1~10の的)の場合を検証するのがよい。
すると、1,3,7,9だと重なることがなく、2,4,5,6,8で重なることが分かる。
同時に「重なる」=「途中で1のマスに戻ってくる」ということも理解出来れば、あとは玉の入る場所が60個の的の場合に適用することで求められる。
なお、この問題では「1,3,7」を除いて答えなさいとあるが、図形の対称性を利用すれば、反時計回りに1,3,7か所ずつでも重ならないと分かるので、時計回りに13、17,19か所だと重ならない、と求めることもできる(こちらの方が早い)。
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大問2
テーマは「温度計」。
理科がテーマではあるが知識があまり要求されず、「知識よりその場の結果が優先」といういわゆる「都立中の理科」。
しかも小石川中ほど深く突っ込んではこない。
ただ、実験結果の読み取りや数値計算など、理科的な要素はきちんとある。
問題1
温度計のめもりが1本ごとに違うのはなぜか答える問題。一瞬「?」となった受検生も多かったのでは。
「温度計のめもりのはばがちがう」のに、「温度は5本とも正確に測れる」のがポイント。
つまり、「赤い液体の体積の変化」は5本とも同じなのに、真横から見るとそれが同じに見えないのはなぜか、という話になる。
したがって、赤い液体の入っている管の大きさ(断面積)が異なる、が正答となる。
問題で図(写真)まで用意して生徒の視点を固定させ、気づきにくくさせている感あり。
このパターンはあまりなかったように思うので、今後気をつけるべき。
問題2
めもりが消えている温度計に、何℃ごとに何mm間隔でめもりをつけていくかを答える問題。
求めた式も書く必要があるが、両国高附属中と同じく、式のみでOK。
「30℃のとき、0℃の位置から4cm」「1めもりを5℃より小さくする」以外の情報・条件はないため、自分で決めた温度によって答えが変わる。
「単位が異なる」のと「植木算と見せかけて植木算ではない」ことに注意。
学校解答は1℃ごととなっているが、最も楽なのは3℃ごと。
大問2の中では最も取りやすいので、ここも確実に得点したいところ。
問題3
「はやとさんの作った温度計」において、温度によって色水の水面までの長さの変化が異なるのはなぜか、「くるみさんの考えた実験結果」に基づいて答える問題。
まずはくるみさんの実験を見ると、異なる条件は「かわいている」か「色水を入れているか」で、実験結果の違いは「かわいている方=風船が少し膨らむ」、「色水を入れている方=風船が大きく膨らむ」と分かる。
次に、今回求められているのは「温度による水面までの長さの変化のちがい」なので、「変化」に着目してくるみさんの実験結果を読み取ると、「色水を入れている方は、熱湯に入れる前は風船がしぼんでいるが、熱湯を入れた後は風船が大きく膨らんでいる」となる。
つまり、熱湯に入れると、水が蒸発し水蒸気となって体積が大きくなったから風船がふくらんだ、と結論づけることができるので、その点に触れて説明していればよい。
「対照実験」で終わり、ではなく、もう1歩踏み込む必要がある。
水が水蒸気になるということを思いつく子は問題ないが、「理科だから対照実験!」という頭になってしまっている子は苦戦する可能性が高い。そういった意味で、やや差がつきやすいのではと。
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全体を通して
今年は問題数が減り、難易度も少し上がったが、個人的には「型にはまりすぎた学習をしている受検者ほど、やられてしまう」という印象を持った。
そういう意味では、「入学試験」とは一線を画した適性検査Ⅲだったように思う。
また、理科については初めての出題で、今後も理科が出題されるかは不明だが、いずれにせよ適性検査Ⅱでは必ず理科が出題されるので、共同作成の適性検査Ⅱのみならず
古い都立中の過去問、他の都立中の過去問等も用いて慣れておくとベタ-。
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